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Gyun*Gyun

録音やアレンジに使用しているSONARの事や日常の悩みなど

スランプ克服についてのパネル・ディスカッション/創作・心構えなど

music/音楽

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AbletonのサイトとYouTubeで公開されている音楽アーティストたちのディスカッション「Overcoming creative blocks(スランプ克服についてのパネル・ディスカッション)」が面白かったです。クリエーターならではの問題に対する解答がとても興味深いです。

 

 

www.youtube.com

 

 

デニス(司会者)

このパネルでは、さまざまな分野から4名のアーティストをお招きしてお話を伺います。

それぞれ非常に異なる美的概念をお持ちです。

今日の議題はクリエイティブ戦略です。

今年書いた本はこの問題を扱っています。

音楽を完成させスランプを乗り越える方法について。

今日は本についてではなく、こういったアイデアについて4名のアーティストの経験からお話を伺います。

マシュー・ハーバート"Matthew Herbert"(作曲家、DJ)

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ジェームズ・ホールデン"James Holden" (DJ・音楽プロデューサー)

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ヤング・グル"Young Guru"(レコーディングエンジニア)

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フィービー・キド" Phoebe Kiddo"(ミュージシャン・アーティスト)

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司会を務めるのは私 デニス・デサンティス"Dennis DeSantis"(作曲家)です。

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まず ひとつ質問を投げかけてみたいのですが

これまでのキャリアにおいて、あるいはプロになる前にスランプに陥ったことは?

その場合 どうやって乗り越えましたか?

 

マシュー

スランプは…おおざっぱに言って1日に6~7回くらいあります。

これまでずっとそうです。

Twitterで確認するつもりでしたが、ピアニストのジェームズ・ローズがインスピレーションについて素晴らしいツイートを残しています。私は引用が下手で…

鍛錬についてのツイートでした。彼は日に5~6時間練習するそうですが、なぜならインスピレーションとは気まぐれで滅多にないものだからだと。

彼はこれを140字に上手くまとめていました。私の説明よりずっと上手にね。

とにかく要点はインスピレーションは何かと同時進行で発展させていくもの…

全く当てにならないものだから…

インスピレーションがなくても制作できるような何かを展開させていく必要がある。

 

デニス

フィービー、先日お話しした際"鍛錬" という語が出てきました。

また制作の手法についても聞かせていただきました。

ここで少しお話しいただけますか?

 

フィービー

ええ。もちろん。

多くのアーティスト…プロとして活動し作品をリリースしているアーティストは、鍛錬が最も重要な側面のひとつだという意見に賛同するでしょう。

良い作品を完成させるには楽しい事ばかりではなく、長い退屈な時間を費やすことになります。

忍耐と根気は重要な特性です。

最後までやり通すために身に付ける必要があります。

イデアを温め、発展させて意味のある作品になるまで全力を尽くすのです。

 

デニス(司会者)

作業が退屈だと認めることができるというのは興味深いです。

若いプロデューサーの多くはクリエイティブなアーティストについて、いつも楽しんでいるという ある種のロマンチックなイメージを持っています。

ボタンやノブに囲まれたスタジオでいつもニコニコ仕事をしている。

"アイデアがあふれ出す" みたいな…。

でもあなたは瞑想で退屈に対処しているとのお話でした。

 

フィービー

瞑想をするのは人生の助けになるからですが忍耐力を育むことにも役立つ。

プロセスの困難な局面を乗り切る力を与えてくれる。

私にとってはプロセスの最後の細かな部分…。

曲を聴いて何が必要なのか見極め、対処し、解決する。

 

こういった最終部分で、既に曲に飽きている事が多いので、その部分をやり通す為のプロセスや実践があると非常に役立ちます。

完成を見届けるのにね。

 

デニス(司会者)

グル 何か言いたそうですね?

 

グル

全く同意見です。

非常にクリエイティブな部分もありますが、エンジニアやプロデューサーとしてはそういう面も教えている若いプロデューサーの多くが「これが仕事だ」ということを忘れている。

レコード会社と仕事をする時、皆にこう伝えるようにしています。

「ここからは退屈なスタジオ作業が始まるぞ。様々な困難を乗り越えなければならない。”メイン”や ”クリーン””アカペラ””インスト””ボーカル”と多数のバージョンを作成しなければならない。退屈になるぞ。

何度も同じ曲を聴くことになる。ステムを作成しなきゃならないから各パートを個別に聴いて確認してくれ。」とね

「だがこれも仕事のうちだ。だから、視点を変えて、音楽を制作して、楽しんでもらって収入を得ているのだから、このキックを5分間聴き続けるのも そう悪くないだろう。」とね。

 インスピレーションを見つけられないという状況は自分にはない。スランプに陥ってもできることはたくさんある。

他のアーティストの曲を聴いたり別の芸術様式を試してみたり。

ミュージシャンにとってあらゆる種類のアートを理解するのは重要だと思う。自分なりの表現を理解できるから。

 退屈したりアイデアに詰まったら私は外に出て写真を撮り、刺激をもらって音楽制作に戻る。

別の五感を使って。インスピレーションを見つけるという感じ。

耳を使うのを止めて、しばらく目を使い、また耳に戻る。

 

デニス(司会者)

ジェームズ これは先日の話につながっていますね。

非常に興味深いことを話してくれました。

「"リリースの間に学ぶ事を考え付かなればならない" この言葉に興味を持ったのは多くのプロデューサーは”まあまあ、あるいはかなりの成功を収める”」と。

世間の注目を逃さないよう出来るだけ速く同じことを繰り返そうとしますが、あなたは非常に異なるアプローチを採っている。

ですよね?

 

ジェームズ

ええ。幸運だったのかもしれませんが前作から次のアルバム・リリースまでに7年かけましたから。

何も学んでいなければ同じ人間なのだから別のレコードを作れる訳がないと思うんです。

頭の中に出すべきものが何もない。

成功を収めた最初のレコードには、それまでの全てが凝縮されている。

次のアルバムを作ろうにも空っぽの状態だ。

ツアーに出て酔っ払ったりハイになったりした以外は。

 

デニス(司会者)

あなたの場合はどんな取り組みを?

 

ジェームズ

スランプを感じることがないんです。インスピレーションが全くわかず、楽器を触る気にならないことはよくありますが。

スタジオに入って何か技術的なことを学びたいと思うんです。

別の楽器を学んだりレコードを聴いたり。

 

デニス(司会者)

作品を発表しないことで忘れられるという心配は?

世間の注目を失うことに不安はないと?

 

ジェームズ

もちろん考えます。

毎週、銀行から残高のお知らせが届くし。

 

グル

でもこれは重要なポイントだと思います。

私の経験では例えばジェイ・Z(ラッパー、ソングライター)などとスタジオで、音楽制作についてありとあらゆることを議論しますが、ある事で大きな成功を収めると、問題になるのは”同じ事を繰り返す事”をリスナーから期待されることです。

それで前回とは全く逆のことにトライする。

"The Blueprint" がヒットして当時のヒップホップの主流がサンプリング中心の作品に変化した。

だから、あのアルバム以降、数々のプロデューサーから"The Blueprint" にそっくりなビートが送られてくるようになりましたが、同じ事はしたく無いので全く逆の事をやりました。

 それに日常をどう過ごすかが、とても大きな意味を持つと思います。

体験がなければ引き出しが得られない。

それに体験こそが本心をさらけ出すことを可能にしてくれる。

それが人生のある地点における その人の真理だから。

一定期間を通して成長の過程を見ることができる。

その真理がありのままの自分であることを可能にしてくれる。

時が経つにつれて人間は変わっていく。

 だから変化を求めることは重要です。

特にヒップホップでは未だにアラフォー世代がティーンのような音楽をやっている。

でもリアルな日常はパートナーや子供などが生活の中心だ。

だから例えば税金が高くて嫌だという曲を作ったり…

もちろんクールにね。とにかく自分にとっての真実を語りたい。

例えば "Off That" という曲はまさにそのことを歌っていて「昔はあれやこれやいろんなことをやった。だから19歳の君がそういうことをやるのはよく分かる。だが自分はやらないもう大人だから」という曲です。

自分らしくいること、自分の立ち位置で話すこと、経験や日常生活がなく同じことを繰り返していたら長く留まることはできません。

興味の対象にならない。

 

デニス(司会者)

マシュー 聞きたいのですが人生における前進と様々な局面を経ること、ルール化することで有名ですが今でも同じ手法を?

 

マシュー

ええ。前作は別としてほとんどそうです。

90パーセントその方法です。

私にとって これは自分との戦いです。

グルの話に関連して言えば何故それをやるのか、何を実現しようとしているのか、乗り越えるべき技術的な問題は何か。

またツールとの戦いでもあります。

今、私にとって一番手強い楽器がピアノです。

長いこと演奏していますがピアノの前に座ると…

なんというか…一体、どれだけの曲がピアノの為に書かれてきたことかと。

演奏だけで満足させられるほどクラシックの技術は持っていないし、何か閃くことを願いつつ何時間も弾けるほどジャズのテクニックもない。

この問題はそのままエレクトロニック・ミュージックに置き換わりました。

80年代にエレクトロニックミュージックを始めた頃、当時のテクノロジーは、それがどういった形で利用されるのか理解していない人たちによって開発されていた。

昨日 Casio FZ-1について考えていました。

初めて手に入れたサンプラーです。

小さなスクリーンが付いていてぎこちない波形を描くことができました。

小さな家の絵を描いて再生するといつもこんな音が…。(擬音)

どんな絵を描いても結局…(さっきと同じ擬音)

それでも "クール" でした。

モジュレーションホイール機能が付いていてサンプルをスクラッチできました。

ひどいクオリティでしたが…。

それでも 「ああ、こんな機能があるのか」 と。

デザイナーはきっと「よく分からないけど ここに描画機能を付けてみよう」 みたいな感じだったのでしょう。

背面にマイクとライン入力がありました。

808 909 303(ローランド社のドラムマシーン)は特に909はドラマーの代役となるようデザインされていました。

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ドラム・サウンドを再現するというね。

実際には全く違っていて、それが良さでもあるのですが。

そして303は振幅フィルターがアシッド・ハウスを誕生させました。

今ではサンプラーを1台購入すると5GBものコンテンツが付いてくる。

Logicを立ち上げると「制作したいのはヒップホップ?プログレッシブ・ハウス?シンガー/ソングライター?必要なのはこれ? それともこれ?」と…

「おいおい…」という気分になります。

ショッピングのようなものです。あれもそれもこれも…と子供扱いされているようで…

こういった事との戦いなのです。

マニフェストを書いたのはそれが理由で”自分で決断したい”から。

私にとって作曲のプロセスは機材の電源を入れる前に始まっています。

 

デニス(司会者)

その点は重要ですね。

その話を展開していきたいのですが…その前に何か付け加えたいことや対比させたいことは?

 

グル

全てをオフにするということもできる。

それは簡単です。

いろんな角度から、この点について考えると”制作側””エンジニア”からすれば機材を見るとわくわくして”これで何ができるのか?何ができないのか?”と考えますが。

 私もSP-12世代で1200を入手するまでSP-12を使っていました。

サンプリング時間は12秒でAkai 950につないで、ここから音楽制作をスタートさせました。

だから制約が創造力を養うというのは分かります。

限られた時間で作品作りをする

方法を考える必要がある。

ただ私にとっては簡単に全てが手に入るのは利点です。

アナログ愛好者の友人は皆「デジタルはダメだ

全然違う」 というのですが、私は「冗談だろ?アナログ時代に実際にスタジオで作業したことある?」 と言いたい。

6台のキーボードがあるとして昼を食べてから1台ずつリチューンしなければならなかった。

大変です。クラビネットのバッテリー交換ではリード線を抜いて半田付けする必要があった。

クライアントに 「5分ください"」と断ってね。

だからショートカットを押すだけで同じ状況を復元してくれるのはうれしい。

クリエイティブな面から言えばマシンをコントロールするのは自分でマシンは言われたことをするだけ。

あれやこれがしたいと思うときにSP-1200のスイングやMPCのスイングが使えるということ。

さらに言えばオンラインで探せばこういったスイングを探すことができる。

それらを活用すればいい。

Abletonで自動スライス機能を使う際に内蔵のスライスをずっと使っていました。

他のがあると知らなかったので・・・。

ある日「これは何だ?」 と他の方法があることに気付いたんです。

「皆はこうやっているんだ」と。「とても便利じゃないか」と。

楽しいし刺激も得られる1日座っているだけで、そういったスライサーを使って10トラック作成しました。

同じサンプルなのに…全く違うサウンドになる。私にとってはこういった可能性は不満よりもずっと多くの満足を与えてくれる。

気に入っています。

 

デニス(司会者)

ジェームズが何か言いたそうですが。

 

ジェームズ

これまでのプロジェクトで使ったテクは結局同じものを生み出すだけ。

このオプションを捨てると解放され、たくさんのことが片づく。

私はバウンスを使わないので無数にあるオートメーションレーンはそのままにしておきます。

後で調整するかもしれないと思って。

結局しないのですが、それでAbletonがクラッシュしてしまう。

400チャンネルもあるから。

創造という観点から言えば”これを仕上げなければ” ”テイクを作らなければ” ”室内のこの雰囲気を捉えなければ…”というのは意味が無い。

なぜなら明日にはこの部屋の雰囲気は消えているから。

完全なデジタル・リコールが可能でも。

 

デニス(司会者)

それではこの問題をどう解決しましたか?

モジュラー・システムに切り替えたんですよね?

 

ジェームズ

 ええ。もうコンピューターではほとんどサウンドを生成していません。

完全にリコール可能なものもいくつか使用しています。アルバム作曲プロセスに便利なので。

 あとは考え方が変わったこと。

電話でも話しましたが今はライブ録音だけなので、”シーケンス” ”プログラムオートメーション”は一切使用しません。

こうするとスタジオにこもる事がなくなります。

これと思うものをプレイできるまで練習して録音する。

 

デニス(司会者)

フィービー、あなたのプロセスは素材のレパートリーを構築してそれらを組み合わせるとのことでしたね?

 

フィービー

ええ。私も同じ理由でライブっぽいプロセスです。

でないと無限に続くことになるので。

私にとってプロセスに従って行うことは最も重要なことのひとつです。

いろんなクリエイティブ戦略を試すことからプロセスは生まれる。

プロセスを定め、それを固守し正しいツールを選択する。

制約を設けることも役立ちます。

”まとまりのあるプロジェクト” ”アルバム” ”レコード”を作成することができます。

バーチャル・ハードウェアを使用してパフォーマンスするのも好きです。

シンセっぽいサウンドがとても好きだからアナログでモジュラーなやり方を好む傾向にあるかもしれません。

パフォーマンスのプロセスは好きですが音はサイバネティックなモダンなサウンドが好きなのでデジタル・ツールは大好きですがアナログ的な使い方をしたいんです。

ライブ・システムを作ってライブ演奏をして、それが曲になる。

エンジニアにとっては逆の順序になりますが。

 プロセスの最後に来るのが”エンジニアリング” ”ドラムのキャプチャと録音ドラムマシンやシンセからAbletonなどにキャプチャしてトラックを作成します。

演奏のプロセスがアイデアを生み出すのに非常に重要になりました。

個性的な音楽を作るためのアイデアです。

ある意味、制約もありますが。

あまり知られていないけれどクリエイティビティに最も重要なことのひとつは問題を解決するだけでなく問題を見つける能力を身に付けること。

良い作品を作るには良い質問が出来るようになる必要があります。

”このツールは私にとって適切か?” ”仕組みは?” ”私の使い方は?”これらは制作の初期段階を乗り越えるのに役立ちます。

ツールに共通した問題なのかもしれませんから、それを乗り越えるプロセスを見つけることができたら心地良く素早く作業できるプロセスが見つかれば、より良い作品になります。

イデアをより素早く多く生み出すことができます。

生まれるアイデアが多いほど良いアイデアが得られる可能性も高まります。

 

デニス(司会者)

よい質問が。何かを理解するということについて。

若いプロデューサーたちにとって関心の対象は答えであることが多いと思います。

”自分は何をやっているんだろう?” ”このツールはどうやって使う?””これで出来ないことは?”こういった状況ではプリセットやテンプレートが"こんなことができるよ" と方向を示す役割を果たすのだと思います。

"これはコンプレッサ―で普通はここでは使わないよ" とか。

でもあなたのお話は、”新たな問いを見つける事”についてです。

"考えることが増えた" とプレッシャーを感じている若いプロデューサーたちにアドバイスするとすればどんなことを?

 

フィービー

まずはツールについて楽器について学ぶこと。

これが最重要です。

インストゥルメントが扱えなければ良い曲をつくることはできません。

録音やシンセなどの扱いを知らなければ無理です。

ツールの扱いが上手くなれば様々なアイデアを反復させるのも簡単になる。

堪能になればツールの数が少なくても、ある程度の制約が生まれるセットを選ぶだけ、パラメーターを変えるだけでも選択肢がたくさんあります。

しっかり学ぶ事で、ツールだけでなく素材やサウンド選択したインストゥルメントのクオリティの操作も上手くなる。

それがプロセスに変化をもたらし一定の基準で作成し始めると、進んで行くにつれてそれが変化して作品自体がさらなるアイデアや問いをもたらしてくれる。

音質などいろんなことについて。

 だからまずツールを知ることが大切。スムーズに作業を進めることができるように。

すると制作自体が問いや課題をもたらし始める。

まずある程度の習熟度に達することがとても重要だと思います。

 

デニス(司会者)

ここでパネルの参加者全員にお尋ねしたいのですが。

楽器を学ぶことに一生を費やすことも可能です。

例えばピアノやモジュラー・システム、録音スタジオなど。知識を深く掘り下げるために全ての時間を費やして。

”1曲も書いたことはないけれどFM合成について知らないことはない”ということも。

どこで線引きするべきでしょうか

習熟と…

 

ジェームズ

それは良くないことでしょうか?

 

デニス(司会者)

 

 そこが問題です。目的がレコードの制作ならそれは良くないことですよね?

 

グル

そうですね。

 

デニス(司会者)

話が終わってしまいましたね。

 

グル

話の腰を折るつもりはなかったのですが目的が分かっているのなら事は非常に簡単です。

私は使用する機材について学ぶべきだと教えています。

学生を座らせて”「これから1週間このシンセについて学ぶ。できるだけこのシンセに詳しくなれ。」1週間後に曲を作ってもらう。どれだけ学べたかに関係なく"私はエンジニア寄りなので機材の仕組みを知るのが好きですがミュージシャンには、そういったことには興味が無く、とにかく音楽を作りたいという人もいる。

だから手元の機材が何であれ音楽を作る。

するとプロセスの過程で成長し習得するようになる。

そうすると、それがスランプ時に役立つ何かになる。

「ああ。こんなことやあんなことが出来るんだ」 とね。

こういった小さな火花は役に立つが、でも忘れてはいけないのは応用研究をやっているのではなく、全ては音楽を作る為だ。ということ。

ミュージック・メイカーとして忘れてはいけないのは”なぜ” ”誰のためにそれをやるのか” ”オーディエンスのため?” ”自分自身のため?”

私は誰かのために音楽を作りたい。

でなければ部屋で一人演奏するだけになってしまうから。

作品を公開して感情を伝えたいと自覚してやっています。

私の音楽を聴いてくれるほとんどの人が機材については何も知りません。

それが目的ではないから。

作品を披露しなければいけない。

私たちが忘れがちなのはミュージシャンとしてのコミットメントです。

ギター・サウンドがあるとして何時間もかけて加工していいサウンドにして録音して終わり。

その意味はどこに?シンプルなことです。

 

デニス(司会者)

こちら側で何かご意見は…

技術的習熟度について。線引きについて。

 

マシュー

常にある種の緊張関係があります。

習熟度と無知の間にはクリエイティブなプロセスにおいては能力を最大限に活用できる時には、ある種の喜びが感じられると思います。

ですからツールを学ぶという点には賛成です。

ただ重要な点として制作を語る上で…作品作りを語る上で重要なのは…一緒に仕事をした優秀な人には理解できないような事をしている人もいる。

"何故そんなことを?" と聞くと"他にやり方を知らないから" と 自分なりのやり方がある。

スランプを乗り越える優れた方法のひとつはコラボレーションです。

誰かに曲を聴かせて「どう思う?」 と尋ねてみる。

私にとって曲を聴くことは最も大変なことのひとつなので、ステムやミックステイクなどいろんな話をしましたが、一番大変なのは何度も繰り返し聴かなければならない事。

キックドラムの一音一音を聴いて”歪み” ”クリッピング” ”ピーク”が無いか確認しなければならない。

大変だし退屈で過酷だ…

こういった過酷な部分も制作の一部で、先の話にもありましたが私も繰り返し聞いて”興味を失わないこと””プロセスに関わり続けること”が大切です。

もちろん一番いいのは誰ががいてくれること。

特に作曲では他の人のやり方を知る事が出来る。

 

デニス(司会者)

何か付け加えたいことは?

 

ジェームズ

マシューが言ったことについて2つ世界にはすでにものすごい数の音楽がある…

あなたの本は素晴らしいし励まされるけれど…

頭に全く逆の本が浮かぶんです。

どのページにも"こんなことをして何になる?" と書いてある。

最後のページには”オンライン配信サービスのEDMカテゴリ”のスクリーンショットが印刷されている。

すでにたくさんの音楽が存在しているのにそこに駄作を加える必要があるのか? と。

コラボレーションではある目的があって協力し合う。

会うのはこれで最後かもと思うと、それが…

それ自体が目的になる。そこで起こったことを録音することが。

それが目的を与えてくれ憂鬱を乗り越えさせてくれる。

エレクトロニック・ミュージックのソロ作品を制作していると配信サービスは満杯だと感じてしまうのです。

 

マシュー

これは私がよくネタにする統計データなので聞いたことがあるかもしれません。

数年前、同じようなディスカッションでApple社の誰かが教えてくれたことですが、iTunesコンテンツの75パーセント以上は一度もダウンロードされたことがないそうです。

認める必要があるのでしょう。音楽は浪費されるものとなったという事実を。

食物や衣服と同じで…私たちはそれを吐き出し続けるがそれを聴く人はいない。

だからこそ哲学的な側面…音楽の意義や日常生活そういったこと、なぜ曲を書くのか? という部分が非常に重要となる。

でなければ、ごみを生み出しているに過ぎない。

 

デニス(司会者)

この話の教訓は音楽制作は退屈で音楽はすでに溢れるほどある。

元気の出る話ですね。

 

ジェームズ

でもこういったハードルを乗り越えられれば音楽を作ることに至るでしょう。

その作品の存在意義を頭の中で正当化することが出来れば、共感してくれる人もいるかもしれない。

 

マシュー

そしてそれに刺激をもらう。

 

 ジェームズ

そうだね。

 

デニス(司会者)

そこで興味深い点として配信サービスはすでに曲でいっぱいなのに、さらに曲が追加され続けるのは何故でしょう?

 

グル

アクセスがあり、音楽制作がずっと身近なものになったからです。

段階を踏まなくていい。これには長所も短所もあります。

昔はいろいろ大変だったレコード会社やラジオ司会者にひれ伏す必要があったり、各方面に働きかけたり…自ら蒔いた種なんです。

これについてジャロン・ラニアーが素晴らしい本を書いています。

いかに私たちが間違ったものを求めてきたのかが説明されています。

どんなことになるのか知らなかったのです。

インターネットに曲をアップロードする自由を求めるなら、その自由は他の全員にも与えられるのだと自覚しなければならない。

そこから抜き出た存在になる必要がある。

ただ自由はやはり素晴らしいことです。

レコード会社に屈することなく別のやり方で自分のウェブサイトに集客したりiTunesで作品を販売したりそういうのも面白い。

そういった側面も楽しんでいます。

現代のミュージシャンとして、ある程度の理解は不可欠です。

自分の活動に注目してもらい、興味を持ってもらう事をする必要がある。

 

デニス(司会者)

私の質問は少し別の観点からのものでした。

特定の種類の音楽について話していましたよね。

ステージでよく耳にする音楽。

 

グル

それは一体何なのか?EDMとは?電子機器を使用したダンス曲はたくさんある。それがEDM?

 

デニス(司会者)

そういった種類の音楽について…

どうぞEDMという語を使ったのはあなた(ジェームズ)でしたから

 

ジェームズ

論点をすり替えようとしただけですよ。

 

デニス(司会者)

敢えて反論してみました。その論点をふくらませるために。

 

ジェームズ

言うならば…

それが簡単であればその価値も低い。

シーケンサーを起動するとヘルプウィザードが立ち上がって作曲を手伝ってくれるようなら、ヒップホップやハウス・ミュージックなど何でも、それは誰にでもできることになる。

そうなると成果は価値を持たなくなる。

昔はアコギを買ってビートルズの曲を演奏したりしたけどアコギにはMP3書き出し機能はない。

つまり一部のソフトウェアは一般的な楽器になった。そのままの形で使用できる

私はエゴイストでナルシシストだから、そういうものを自分の作品として認めたくない…。

 

デニス(司会者)

でも例えばティーン向けの音楽。それが彼らの求める音楽ならば、それはそれで成立しますよね?

 

グル

ええ。それはそういう曲を聴いて育ってきたからです。

私は 他と差を付けるならMassiveは使わない方がいい。皆が使っているプリセットは使わない方がいい。 と考えます。

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学生がMassiveでプリセットを使用していたら「このシンセは最高だ。プログラムすればいろんなことができる。仕組みを教えよう。そうすれば何か変わったことができるはず。一歩抜き出る存在になれる"」と言うでしょう。

私はいつも皆とは逆の方向に進む。

次々とピラミッドが生まれていきます。誰かを頂点として、それに追従する人で作られたピラミッド。

(そうでは無く)新しいピラミッドを生み出そうとすることが大事です。

皆と同じことをするのではなく、例えばスタッターが人気で皆が使用しているとしたら、すぐにどれも全く同じサウンドになる。

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同じプリセットを使うからです。

ヒップホップでも同じです。

例えば808はもうそろそろ引退させて…何か別のことをやらないと。

なぜなら…15歳がYouTubeで説明できるほど一般的なものになってしまったから。

何か新しいことを見つけなければ。

「それがこのジャンルの特徴だ」「他とは違う」というのが、それが今は違う。

「どうやったら同じようなサウンドになるか?」

まるで誰もが次のDrake & Futureを目指している感じ。

私は別のことをやるよう勧めます。

 

デニス(司会者)

フィービー 差別化におけるあなたの解決策は?

 

フィービー

先の話に出た日常生活刺激を受け物事を学ぶこと。

音楽と無関係な側面を育てることは非常に大事だと思います。

そういったものは音楽にも表れるから。

洞察の多くは実際の作品作りとは別のところからやって来る。

別の芸術や経験から。

私にとって役立っているのは芸術的な方向性を選択して、それを事前に定義しておくこと。

そうすると作品の世界観がぶれない。

それと慣習とは少し異なる選択をすること。

何が慣習なのか理解することも重要です

アーティストとして駆け出しの頃は別として特徴をつかんでおく必要があると思います。

また自分の作品のジャンルに関する、ある程度の認識も必要です。

作品をリスナーにとって意義のあるものにするためには、まず知ってから、それを壊す。

多分それが良い方法だと思います。

そして、それぞれに方向性を持つこと。

キャリアを通じて、ずっと同じスタイルをキープする必要はありません。

でもレコード毎に世界観と雰囲気を与えること。

そのアイデアや作品にある種の敬意を払って、最高のクオリティを引き出そうとすること。

私にはこれがとても効果的なプロセスとなっています

 

デニス(司会者)

非常に興味深いですね、領域を認識するというアイデアは。

ただ、対照的なのは約20年ごとに一部の民族音楽学者によって、世界から完全に隔離された音楽文化が発見されています。

これまで誰も聞いたことがないような音です。

これは完全に真空空間で生まれた音楽ですよね?

これはつまり世間知らずであることにも何らかの意味があることを示しているとは考えられませんか?

 

フィービー

それについてコメントしたいと思います。

経験豊富な面々と同席しているキャリアの浅いアーティストである私の立場から。

マシューの話にあったように経験が浅いのに、最先端のテクノロジーに触れられるのは良いことです。

うれしい偶然を呼び面白い何かが生まれます。

無知から発見へ。

ツールやプロセス等、

色んな物を使って、それによって多数の興味深い作品が、

特に若いプロデューサーの作品が生まれています

何をやっているのかはっきり分からないけど、決定的な作品を生み出している。素晴らしいことです。

ツールであろうとコンセプトであろうと、新しい領域に自分を押し出し続けることは非常に重要です。

押し出されて成長し、自分の知識の殻を破ることが突破口につながる。

 

デニス(司会者)

経験が浅い事と習熟度との間には矛盾はありますか?

 

グル

ある意味ではそうですね。でも、この立場から言えば、真っ当な反逆者になるにはルールを知る必要があると思います。

でないと理由のない反逆者になってしまう。

ルールを知っているから意図的にそれを破ることができる。

ルールを知らないと、つまり経験がないと、これまで成された試みなのかどうかが分からない。盲目的に音楽を作ることになる。

ただこれは個人的な意見ですが。

私は出来るだけ知りたい。情報が好きなんです。

作成されたアルバムを聴くだけじゃなく、なぜそれを作ったのか

背景を知りたい。

その作品が生まれた意味あるいはその有無。反逆者になるには破ろうとしているルールを理解する必要がある。

肉付けするにはまず骨格が必要なように、ある種の構造が必要なのです。

でないと、まとまりのないものになってしまう。

 

デニス(司会者)

マシュー、ピアノが苦手とのことですが、ピアノ音楽の歴史がその理由だと?

似ているなと。

私もある意味クラシック音楽畑出身なのですが教授たちは弦楽四重奏を書くのは気が引けると。ベートーベンが優れた作品を残しているから。

その一方で "知ったことか" という感じもある。

歴史に怖じ気付く必要がどこにある?と。

例えばピアノを見た事が無い子をピアノのある部屋に入れたら、きっとこの子は ピアノを楽しむ事が出来ると思うんです。素敵な音が出るし

歴史のことなんて知らないから。

歴史に対する恐怖感を消すことはできるでしょうか?

これまでの優れた作品への恐れを。

 

マシュー

ビッグ・バンド作品を作ったときインタビューでよくこう言われました「ビッグ・バンドをやるとはとても古風ですね」私はとりあえず「そうですよね」と答えましたが、ふと思ったのです。計算してみようと。

ビッグ・バンドのアルバムはどれくらいあるのか?

ここではっきりした数はいえませんが、例えば数百万あるとして…

一方、現在ハウス・ミュージックやエレクトロニックテクノなどを合わせて作品数はそれと同じくらいになると思うんです。

だから実際にはエレクトロニック・ミュージックの歴史はエレクトロニックであるということの意味は別としてもスタジオベースの音楽はかなり凝縮されていて、先の話と同じように909や808を前に一体何をやればいいんだ?と。

ラップトップを前に808を開いて何か独創的なものを書こうとしても同じ事をやっている人が何十万といてオリジナリティを出す方法を探している。

おかしな話かもしれませんが日々やり続けなければならない。

今日はこれを書くぞと。ただ今は…

友人とポップの曲を書いているのですが彼のテクはセロテープなんです。

"音が多すぎる" といって指と指をセロテープでくっつけてしまってから「よし これで何かやってみよう」 とこんな風に…(指を閉じて電子楽器を叩く仕草)馬鹿馬鹿しい例ですが要は…

それが仕事ならとにかくやる。

良く思い出すのは2006年のことです。

大きなチャンスがあって、それまでで一番大きな曲を書いてテレビでパフォーマンスするという英国ジャズの記念イベントです。有名コラボレーターと一緒に。

それまでで最大のチャンスでテレビで放映されるし大きな出来事でした。

当時オーストラリアでツアー中で3時間半で完成させなければならなかった。

3時間半です。

失敗する余裕はない。大勢が楽譜を待っている状態です。

そう楽譜も必要だったんです。書いて、アレンジして、印刷して、完成させる。

こうやって座ってワインを半ボトル空けて鉢植えを持ってきたり、服を着替えたり、締切の事は忘れて、とにかくやるしかなかったです。

 

デニス(司会者)

10分ほどあるので質問を受け付けます。どうぞ(客席に対して)

 

質問1

こんにちは。

素晴らしい考察をありがとうございます。

質問はアーティストはどこまで独創的になれるのか?

オリジナリティが問題か真正性の問題か?

 

グル

あらゆるもの、毎日が新しいものだと言えると思います。

「太陽の下にあるもので既知のものは無い」と言う人もいますが、でたらめです。

今日はまだ終わっていない。

それならこの日を新しいものにする方法を見つける。

3人が3つのコードを使えば

全く違ったものになる。

独自のものにすることができる。

独創的になるのは無理という人は好きじゃない。

何であれオリジナルになれる。

いつだって。

この部屋に誰か1人が入ってくれば部屋のヴァイブが変わる。

霊的とかそういう意味じゃなく…。

いつだって違ったことができる。

違うことをする余裕はある。

 

マシュー

真正性も重要だと思います

ツールに関して言えば多くのプリセットにコンプレッサ―やリミッターが使用されているのはラジオのような

サウンド(おそらく”ラジオから流れて来るようなプロの音”という意味。)が期待されているから。

既存の何かのようなサウンドが望まれているからです。

(だけど)そこに罠がある。だから真正性は…

音楽を始めたばかりの頃は…

エレクトロニック・ミュージックのことですが、サンプラーを気に入ったのは本物らしさを出すための近道だったからです。

ファンクをサンプリングして"俺はファンキーだ" と言うことが出来た。

分かりますよね?

これは落とし穴です。それにサンプリングには剽窃(ひょうせつ=パクリ)という問題もある

真正性は危険を孕むもので同調という罠に陥りやすい。

音楽が今や熾烈な消費者主義のサウンドトラックとなってしまったように。

 

デニス(司会者)

他に質問は?

 

質問2

プリセットについて

特に若いプロデューサーたちは、これまで聞いたことのあるサウンドを探していると思うんです。

自分がやっていることが正しいのか、方向性は合っているのか確かめたくて。

それで同じサウンドを見つける事で、ある種の安心感を得る。

「選択は間違っていなかった。自分が好む作品のサウンドになっているな。」と…

そこで質問なのですが、そういった状態から独自のサウンドを見つけるに至るには皆さんはどうしていますか?

 

グル

プリセットは仕組みを説明してくれます。

皆さんが同じ意見かどうかは分かりませんが…

経験の浅いプロデューサーの頃はプリセットが教えてくれます

"ノコギリ波はこんな音なんだサイン波はこうなんだ" とね。

つまり、こうやって物事を学ぶことで独自の音を作れるようになるのです。

エデュケーター(教育者)として言えば…

学生は初めのうち、あなたの話と全く同じことをやります。

ボタンを押して自分の方向性が間違っていないことを確かめたい。

憧れのプロデューサーのような音を出すためのね。

独自の音を見つける手助けをするのはそこからです。

シンセをデザインしたり逆行してシンセのことを学んでいきます。

自分の音楽が全てプリセットで構成されているようなら他と違う音になるはずがありません。

 

ジェームズ

反論しますね(グルに対して)。悪気はないのですが。

ある意味ピアノもプリセットじゃないかと。

Massiveもです。どれだけディープにプログラムして適切な使用方法を学び独自のサウンドを作ろうとしても結局はプリセットだ。

サウンドの半分はデザインされたようなものです。全てが悪い事じゃないと思うんです。

ジャンルに溶け込みたいと思っている子供たち…

例えばダンス・ミュージックならダンス曲を作ったらセットに合わなければ誰もプレイしてくれない。

私がダンス曲を作るのを止めたのもこれがひとつの理由です。

 

フィービー

私もプリセットについて一言。私は大好きなんです。

シンセのプログラミングはできるしプログラミングも大好きですが、プリセットは便利で素晴らしい。

プリセット活用方法を学んで私のニーズに適応させることで無駄な労力を省くことができる。

でも、独創的なサウンドを手に入れるには遂行的なプロセスが必要。

だからプリセットはプロデューサーらしく使って自分のニーズに合わせて変更します。

それほど変更しないこともありますが。

そしてそれを演奏する。つまりエンジニア的なサウンドを”ライブ的” ”パフォーマンス的”方法で使用する。

それが特異性を生むテクノロジーを克服する。

プロセスを見つけることは大切だと思います。

それが独自のシンセプリセットの作成であれ、サウンドを別の文脈に取り入れる方法を探すのであれプロセスやコンセプト、アイデアを通して。

 

ジェームズ

"ライブ" というアイデアに賛成です。

意識は無意識に比べるとかなり愚弱だから、頭で考えて理解しようとしたら車の運転なんて出来ないと思う。

でも実際には出来る。

ライブ演奏にも同じ事が言える。忙しいから考えすぎる時間がない。

無難な選択をする時間も。

私は無意識の自分のことを相方のように感じているので…

 

デニス(司会者)

答えになりましたか?

いろんな答えが出ましたが・・・。

他には?後の方・・・

 

質問3

いいアイデアが書けたけど未完成の場合、発表するべきか悩むんです。

作品を公開し続けたいという気持ち。

結局、何も完成できないという落とし穴にハマって作品をリリースできないのではと。

そこで質問は、どこで完成の線引きをするのか?

また作品をリリースし続けるには?”まぁまぁ”の未完作ばかりを貯め込んでしまわないようにするには?

 

グル

私の場合、自分や自分の感情が表されていると思ったら完成です。

先に様々なレベルでコミットしたくないアーティストのことを話しましたが、批判が怖かったり、人の目を気にしたり敏感になりすぎたり。私はそういったことがなく批判を楽しむタイプです。

先程も彼(ジェームズ)が反論しましたがそれもいい。議論は大好きです。

作品を公開して批評を聞くのが好きなんです。

それで自尊心が傷ついたりしません。

例えばアイスのフレーバーでバニラ派とチョコ派がいるなら「じゃビールを飲もうよ」と…

自分に強さがあれば大丈夫。

作品を公開してコメントを聞くのが好きなんです。

そうやって聴き手の感情を引き出す。

いつまでもいじくり回すことは出来る。

でもある時点で心を決めて提出しなければならない。

"提出" という表現は古いかな。

昔はレコード会社に渡していたので今はもうないかも。

ボタンを押してアップロードする。

世界に公開する。

そうじゃないと、ヴィヴィアン・マイヤー(写真家)になってしまう。死後になって多数のネガが発見された…。

それじゃ意味がない。音楽は人間のためのもの。発表しないと。

 

マシュー

付け加えたいのですが、音楽業界における最大の虚構は音楽を製品だと考えていること。

音楽はプロセスなんです。

ライブ演奏するバンドやアーティストに尋ねれば分かりますが、リリース後1~2年にわたってツアーでプレイして初めて作品の事をしっかり理解出来るようになる。

レコードを録音すべきなのはそのタイミングだと。

全ては常に進化している。"完成" というアイデアはある意味レコード・ビジネスのモデルのために存在している。

クラシック音楽では、ひとつの楽譜があってそれに対する数々の解釈があり、終わりがないマーラー交響曲第5番には終わりがない。

いろんな人がいろんな解釈を続けているから。

つまりプロセスなのです。それにひれ伏すしかない。

 

デニス(司会者)

もうひとつだけ短い質問を受け付けます。

 

質問4

こんにちは。短い質問を。

一生懸命やっても間違えることがある。

それを友人が"最高だ" と褒める。(その)間違いについて。

また時には作品が自分の意図を超えたものになることを受け入れる方法は?

 

マシュー

D・H・ローレンス(小説家)は執筆について「”私”と”私を通り抜ける風”である」と語っています。

これは非常に的確な表現だと思います。これは…

皆のことは分からないけれど私にとってこれまでで最高の作品は…

どう起こったのか伝えるのが難しいけれど、3~4回ほどそう感じたときがあって、ただ目の前に現れたという感じ。

どうやってそこにたどり着いたのか分からない。

どんな決断をしたのかも。それに、そういうときは、あっという間に出来上がる。

1~1.5時間くらいで。だから身を委ねるということ…。

ジェームズの話のように自意識を捨てるということ。

捨てようとする。止めること。

 

グル

いい結果が得られたのならそれは間違いじゃない。

"間違い" という言葉にネガティブな意味を持たせているだけ。

結果が予想と違ったものになったのなら…。

それは素晴らしい得るものがあったのだから。

"気に入った" という誰かの反応がね。

こういった間違いは大好きです。

私の音楽の大部分はそんな感じですよ。

いいことです。私にとっては。

 

デニス(司会者)

それでは終わります

最後に、マシュー・ハーバートジェームズ・ホールデンヤング・グルフィービー・キド ありがとうございました。